脳も筋肉

まったりと鍛えていく

『ザ・ダークパターン』ユーザーの心や行動を欺くデザイン

前書き

このようなアウトプットを全くしてこなかったので練習を始める。 練習として読書→はてブを書くのサイクルを回してみる。

この本を手に取ったきっかけ

所属している企業の会議で話題に少し上がったため、気になったので購入。QAの担当の方冗談混じりにダークパターンと言ったのに知らなかったのでとても良い機会になった。

印象に残ったセンテンスやパラグラフ

1つ目

マイクロコンバージョンのためにユーザーを騙したり、強制的に何かをさせようとしたりするのであれば、それはもはや説得ではありません。本来、説得とは対話的に行われるものです。相手の意思が汲み取られることなく、ビジネスのゴール達成だけが目的になっているとき、そのサイト設計はすでにダークパターンに傾き始めているのです。

開発をしていて、ビジネスサイドの人間と会話をしていて、思い当たる節があると感じた。特に以前所属していたスタートアップではこのような直近の成果にコミットすることを意識しすぎたり目の前の資金調達にしか目が行っていない経営層がいる企業は散見されそうでとてもグサリとくる部分。(ザ・ダークパターン Chapter2)

これは成果に対して時間的な制約が少ないチームでも起こり得る。長期的にユーザーが抱く心理考え、開発まで落とし込めているチームがどこまでいるのか…?というのはなかなか奥深いと感じてしまった。

ダークパターンはヒトラーの政党に投票を集める時代から存在する。というのも衝撃で、そのような手法をマーケティングと呼んでいる人間がいたらこの本を共有して行こうと思う。

2つ目

ダークパターンに関するよくある5回は、ダークパターンが現場のデザイナーの手によって日々生み出されているという誤解です。確かに組織の外からはそのように見えるかもしれませんが、本質的ではありません。多くのケースで、ダークパターンの設計者は、単なる実装者にすぎないからです。(ザ・ダークパターン Chapter4)

誰もが最高の仕事をしたいからこそ起きてしまうというのは業務をしていれば起きえる、さらにそこには悪意がないというがより一層厄介な課題である。プロダクトを成長させるための施策が、長期的に企業に対しての信頼低下につながっていないかなど振り返り見直す仕組みが必要になってくる。

さらに、さまざまな分野において成長目まぐるしい昨今では『何がダークパターンになりえるのか』という概念が常に変化していく可能性があるため、マクロの視点での点検も必要である。

ダークパターンの紹介

「社会的証明」「希少性」などユーザーを普段色々なサービスで見かける細かい仕組みが抽象化し紹介されている。またそれが長期的に見て効果が薄いことや企業の信頼性を落とす要因になることもデータと共に紹介されている。

ここで一つひとつは紹介しないが、こんな事例流石にビジネスに影響あるのでは?と客観視するとある。しかし当事者であったときにそれを指摘できるか?と問われたら気がつかないものもあってしまい、プロダクトに対して客観視する・ユーザー視点を持つ力がまだまだ足りないと感じてしまった。

Netflix社が実施している損して得を取る考えというのもとても参考になった。ビジネスサイドと会話をするときに、どうしても定量的な数値を共通言語として話す方が話しやすい。A/Bテストの結果や短期・中期的な数値上の方が、対話がしやすいのである。しかしそこに長期的な『顧客との信頼構築』というのをプラスして優先していく考えは参考になる。

ノーススターメトリックAirbnb社の11-stars experienceといった指標もプロダクトに携わっていながら知らなかった点だったのでとても参考になる。

ダークパターンの日本語まとめのサイトなどもあり、Webプロダクトに携わっている人間は一度目を通し、携わっているプロダクトが健全なものなのかの視点を得るべきだと感じた。

darkpatterns.jp

著者に関して

KOTOBA UXというUXライティングのメディアを運営されている。コンテンツライティングのメール講座というのもあり、エンジニア視点でもUIライティングというのは(特にフロントエンドを携わるのであれば)避けられない。これを機に学んでみる。